Wonderful DaysⅠ
───15分後───
「……おえっ……」
吐き気が治まらない私は、ホテルのトイレで便器とお友達になっていた。
あれから、再び慧さんの車に乗り込んでシェラトンホテルに辿り着いたんだけど……
心配していたとおり、たった15分のドライブで思いっきり酔った私は、地下の駐車場でフラフラになりながら車を降りると慧さんを置き去りにしてトイレに駆け込んだ。
「えっ!? マリアちゃーん!!」
遥か後方で慧さんの声が聞こえたけど無視。
そして、トイレの個室に篭る事10分。
「こんな状態で、食事なんてムリ……」
気分最悪で、食事どころではなくなっていた。
それにしても……
───慧さんって、何であんなに運転が荒いの……?
あの車を好んで乗っている時点で想像はつくけど、まるでレースのように公道を走り抜けた真っ赤な車体。
シートを通して背中に感じる振動が吐き気を促進した結果がこの状態。
もう、あの車には乗りたくない……