Wonderful DaysⅠ
「なんか、言い合いしてたしね」
「あんな雰囲気じゃなければ、絶対に話し掛けてるのに~!」
「ねぇ、もう一度、見に行ってみない?」
「いいね~!」
隣でメイク直しをしながら話し続けていた人達は、声のボリュームを下げる事無くハイテンションでトイレから出て行った。
それをボーっと見送っていてハッとする。
───やばい……私も早く行かなきゃ!
考えてみたら、慧さんを無視したまま此処に来ちゃって行き先を伝えてないっ!!
もしかして、さっきの人達の話って、本当にアル兄さん達の事かもしれない。
私の姿が無くてアル兄さんが慧さんに詰め寄ってるとか……有り得る…。
手を拭いて、慌てて私もトイレを後にした。