Wonderful DaysⅠ
「マリアが、お世話になったね」
後ろからした修さんの声に、葵さんも笑顔で答える。
「大した事じゃないんで。それじゃ、俺達はもう行くよ」
葵さんがバイクに跨ってエンジンをかけると、カイさんもエンジンをかけて私を見る。
「もう、迷子になるなよ?」
静かに動き出したカイさんのバイクが私の前を通り過ぎる時、一瞬フッと笑ってくれた気がした。
あっと言う間に走り去った二台のバイクは、まるで風のように視界から消えた。
「いい人達で良かったね」
「はい」
修さんの言葉に頷きながら、暫くバイクが消えて行った道をボーっと眺めていた。
その空気をブチ壊したのは、修さんが発した次の言葉で。
「そう言えば……早くマークに電話した方がいいんじゃないかな?
行方不明になったって連絡があってから、アル君とこっちに向かうって言ってたよ?」