Wonderful DaysⅠ
「あのさ、さっきは何で魁君を見逃してくれたんだい?」
さっきの不機嫌さから考えると、直ぐにでも後を追いかけて連れ戻しかねない勢いだった。
なのにそれを見送って、俺のところに来るなんて……
どういう風の吹き回しだ?
「何の事を言っているのかわからないな。俺は、アイツを見逃した覚えは無いぞ」
「え?」
俺を真っ直ぐに見ると、ニヤリと不敵な笑みを見せるアル君。
「俺の予定に変更は無い。予定通りマリアと食事をするよ」
「は?」
本人が此処に居ないのに、どうやって?
余程顔に出ていたのか、アル君は俺を見て面白そうに笑う。
「俺を見て、何か気付かないか?」
「アル君を見て?」
何だろうか?
別にいつもと変わらないアル君は、今日も格好いい……