Wonderful DaysⅠ

The date of midnight







魁さんに右手を繋がれて、ホテルを後にした私。

聞きたい事は沢山あるのに、無言で歩を進める魁さんに話し掛けるタイミングを失っていた。


───魁さん、何処に行くんだろう?


ホテルから出れば冷たい風が吹き抜けて、魁さんと繋がっている手に力が入る。

それに気が付いた魁さんは


「寒いか?」


振り返って私の顔を覗き込んだ。


───うわっ!


いきなり近付いたダークブラウンの瞳と視線が交われば、一気に顔が熱くなる。


「ちょっと風が冷たくて、ビックリしただけです」


慌てて言えば「そうか」と、優しい笑顔を見せる魁さん。


───どうしちゃったんだろう、魁さん……


いつもならピリピリと張り詰めた感じで人を寄せ付けないような雰囲気なのに、今日は魁さんが纏っている空気がとっても穏やかで優しいような気がする。

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