Wonderful DaysⅠ
「慧さんが、魁さんのお兄さん……」
確かにサロンでも結城様って呼ばれていたし、笑った感じが少し似ている気がするから、言われてみれば「あぁ」って思う。
でも……
「そんなに昔から兄の事を知っているんですか?」
魁さんの言葉が、ちょっと引っ掛かる。
アル兄さんはイギリスに住んでいるから、日本に来たのだって最近の筈。
でも、昔から知っていると言った魁さん。
一体、何処で会ったんだろう?
「俺が12の時に初めて会った。慧はもう少し前から知り合いだったみたいだが……」
何処で会ったのか聞こうとすれば、ハッとした魁さんが胸ポケットから再びスマホを取り出した。
画面を確認してから耳に当てると
「───何だ」
相変わらず抑揚の無い声で応答する。