Wonderful DaysⅠ


普通に話している魁さんだけど、電話の相手に何か言われたのか辺りをキョロキョロと見渡している。

私も一応見渡してみたけれど、特に変わった様子も無くて、魁さんの電話が終わるまで少し離れたお店のクリスマスリースをボーっと眺めていた。


「マジかよ……」


微かに聞こえた声に、ちらりと視線を向ければ魁さんが額に手を当てて小さく溜め息を吐いているのが見えた。


───何か、あったのかな?


「あぁ、わかった…」


電話を終えた魁さんは、スマホを胸ポケットに入れるとこっちに向かって歩いて来る。


「マリア、行くぞ」


「えっと、何処に行くんですか?」


行き先がわからず、尋ねれば


「……飯」


どうやら、ご飯に連れて行ってくれるらしい。

まだ、魁さんと一緒に居られると思うと嬉しいけれど……

今更ながらに気が付いた。


「あぁーっ!」


急に出した大声に、吃驚した魁さんは


「どうした!?」


慌てて聞き返してくる。




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