Wonderful DaysⅠ
そのまま外を歩くのかと思っていれば、魁さんが向かったのは地下街に繋がる階段で。
階段を下りて行くと、暖房が効いていて体の力が自然と抜ける。
ふわり……
階段を下りている途中から気になっていた、美味しそうな匂い。
それに素直に反応した私のお腹が「きゅるるるる~」と応えた。
───ぎゃっ! 何で、鳴っちゃうの!?
地下街も沢山の人で賑わっていたけれど、隣を歩く魁さんには、お腹の音が聞こえてしまったかもしれない……
そう思うと、恥ずかしくて魁さんの顔を見れなかった。
そして、やっぱりその音が聞こえてしまったのか
「遅くなって悪かったな。腹減ったろ?」
魁さんが申し訳なさそうに謝ってくる。
「魁さんのせいじゃないです。今のは、いい匂いがしてきたのでお腹が鳴っちゃいました……」
アハハ……と苦笑いをすれば
「間違い無く、俺のせいだろ。本来なら、とっくに兄貴と飯食ってる時間だぞ」
腕時計の時間を確認すると、ダークブラウンに私を映す。