Wonderful DaysⅠ
「ごちそうさまでした!」
お店を出てお礼を言えば「あぁ」と短い返事をして、私の手をとった魁さん。
再び繋がれた手に熱が集中する。
───そういえば…何で、手を繋いでくれるんだろう?
逸れないようにかな……
そんな事を考えていたら
「…マリア」
名前を呼ばれて、握られた手から視線を上げる。
「はい」
「お前の携帯番号教えろ」
「え?」
突然の発言に、魁さんの瞳をマジマジと見てしまう。
「番号。連絡取れなきゃ、あの店に行けないだろ?」
魁さんの言っている「あの店」って、さっきのスイーツのお店の事だよね?
「は、はいっ!」
元気良く返事をしたまでは良かったけれど、私……
「あ…自分の携帯の番号、知りません……」
修さんに渡されたばかりのスマホの番号なんて知らなかった。
せっかく、魁さんが言ってくれたのに!