Wonderful DaysⅠ


「はいっ!」


急に呼ばれて、思いっきり声が裏返ってしまった私を、きょとんとして見ている魁さん。


「な、何でしょう?」


何を言われるのか緊張しながら、恐る恐る聞き返せば


「──…悪い」


何故か、突然謝ってくる魁さん。


───え!? 何で謝るの?


感謝されることはあっても、今までに魁さんが謝る要素なんてなかったよね?


「何で、魁さんが謝るんですか?」


謝罪の意味がわからなくて尋ねれば


「…………」


口を噤んでしまう魁さん。


「魁さん?」


名前を呼んで、自分よりもかなり上にある魁さんの顔を覗き込めば


「お前を家に帰してやれなくなった……」


魁さんの口から紡ぎ出された言葉に、思考回路が停止した。




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