Wonderful DaysⅠ


不機嫌な声の主は魁さんに文句を言うけれど


「──…大袈裟なんだよ。何だよ、この人数は……」


呆れたように溜め息を吐いて、照らし出されたライトを視線で追っているのがわかる。

魁さんが大袈裟と言うほどのバイクの数。


───ふ、振り返るのが怖い……


「まぁ、そう言うなよ。皆、お前の噂を聞いて自然と集まって来ちまったんだからさ?」


さっきとは、また違う声が魁さんに話しかけてくる。


「…………」


その声に、さっきよりも小さく息を吐く魁さんは


「取り敢えずさ……彼女を離してあげれば?」


その声に応じて、私を支えていた腕の力を緩めた。


「立てるか?」


「はい、大丈夫です……」


その魁さんの胸に手を当てて、ゆっくりと離れる。

後ろの光景を目の当たりにするのは勇気がいるけれど、覚悟を決めて恐る恐る振り向いた。


< 414 / 757 >

この作品をシェア

pagetop