Wonderful DaysⅠ
不機嫌な声の主は魁さんに文句を言うけれど
「──…大袈裟なんだよ。何だよ、この人数は……」
呆れたように溜め息を吐いて、照らし出されたライトを視線で追っているのがわかる。
魁さんが大袈裟と言うほどのバイクの数。
───ふ、振り返るのが怖い……
「まぁ、そう言うなよ。皆、お前の噂を聞いて自然と集まって来ちまったんだからさ?」
さっきとは、また違う声が魁さんに話しかけてくる。
「…………」
その声に、さっきよりも小さく息を吐く魁さんは
「取り敢えずさ……彼女を離してあげれば?」
その声に応じて、私を支えていた腕の力を緩めた。
「立てるか?」
「はい、大丈夫です……」
その魁さんの胸に手を当てて、ゆっくりと離れる。
後ろの光景を目の当たりにするのは勇気がいるけれど、覚悟を決めて恐る恐る振り向いた。