Wonderful DaysⅠ
「…………」
───なんじゃこりゃ……
その光景を見て、固まってしまった。
視界いっぱいに映るのは、数え切れないほどのバイクのライトに無数の人。
その人達の先頭には、さっきから魁さんに話しかけていた二人。
悠然と立っていたのは『神威』の総長、葵さんと特攻隊長の蓮さんだった。
見慣れた二人の顔に、少しホッとしたのも束の間。
「大体、噂ってなんだよ…」
さっき、葵さんが言っていた“お前の噂”って言うのが何なのかを魁さんが問えば
「…知らないのか? 横浜駅でスゲェ美女をお姫様抱っこして、マフィアの外人から命を狙われて逃げてるって…」
葵さんの口から紡がれる言葉に、私も魁さんも目が点になる。
「は?」
事実と全く異なる、思いっきり捻じ曲げられた噂。
SPのグレゴリーさんとヴィクトルさんは、いつからマフィアになったんだ……