Wonderful DaysⅠ


「勘違…い?」


「…あぁ…俺は別に、容姿の事を言ってんじゃねぇ。表情が強張って顔色が悪いって意味で言ったんだ」


「…ったく」と、魁さんは手を離すと窓の方に顔を向けてしまう。

なんだ…そういう意味だったんだ……


可愛いとか言われたわけじゃないけれど、容姿の事を言われていないだけでも沈んでいた気持ちが上がってくる。


───よかった……


強張っていた私の表情は、魁さんの言葉一つでくるくる変わるらしい。

その証拠に、車のバックミラーに映った私は小さく微笑んでいた。

いつの間にか、魁さんのピリピリとした空気も消えていて、安堵した私はホッと息を吐く。


二人きりの空間には、ヒーターの吹き出し口から出てくる温かい風の音だけが響いていた。


「……で?」


「はい?」


突如聞こえたその声に、ミラーを見ていた視線を向ければ、いつの間にか私を捉えていたダークブラウンの瞳。


「──…アイツと何を話してた?」



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