Wonderful DaysⅠ
ハッと気が付いて、つられるように時計を見れば7時半になっていた。
「ち、遅刻っ!」
残りのオレンジを口に放り込んで紅茶を一気飲みする。
「・・・・」
そんな私をポカンと口を開けて見ていた修さんは苦笑い。
「行って来ますっ!」
鞄を手に取って急いで玄関に向かえば
「マリア、メガネ忘れてるよ」
後ろから追い掛けて来た修さんに必需品のメガネを渡された。
「ありがとうございますっ!」
玄関の鏡を見ながらメガネを掛ける。
毎日の事ながら、視力がいいのにこんなメガネを掛けるから視界が歪む・・・
眉間に皺を寄せて視界が慣れるまで暫し待つ。
そんな私を見て
「そのメガネやめれば?」
修さんが顔を顰める。
慣れてきた視界に数回、瞬きをして修さんを見ると溜め息を吐かれた。
「そんなメガネを掛けてたら視力が悪くなるよ」
修さんの言いたい事はよくわかるけど・・・
「私、メガネこれしか持っていないんです」
そう言い残して返事を待たずに玄関を出た。
パタンと静かに閉じた扉を見ながら
「全く・・・」
呟いた修さんが難しい顔をしていたのを私は知らない───