Wonderful DaysⅠ




あれから、すぐに戻ると言っていた魁さんは姿を消したままで、静寂に包まれた車内で一人待っていた私。


運転席側の外には、重盛さんが車に張り付くように立っていて、誰も近付かせないかのように周囲に睨みを利かせていた。


小さく息を吐いて、窓の外に向けていた視線を手元に下ろせば、さっき田中さんに貰ったホットココアのペットボトル。

貰ってから、だいぶ時間が過ぎてしまったから熱かったココアは温くなってしまっていた。


「…………」


それにしても……


───何で、田中さんは私を知っていたんだろう……


日本に住んでいた小学生の時だって『周防』を名乗っていた私。

こっちでウィンザーの名を口にしたこともなかったし、住んでいたのだって東京でこっち(横浜)じゃない。

でも、日本で知ったんじゃないとしたら……

必然的に、イギリスで知った事になってしまう。


───田中さんはイギリスに居た……?


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