Wonderful DaysⅠ


「……で、どうしようか。蓮からの報告だと、アイツ等がホテル前で待ち伏せしている可能性が高いよ?」


魁の傍らで眠るマリアを微笑ましく眺めていた葵だが、今現在進行形の問題を切り出すと自然と視線が鋭くなる。


「──…だろうな……」


小さく溜め息を吐く魁は、マリアに視線を向けたまま呟いた。


「マリアちゃんが眠っていてくれて、良かったかもしれないな……
まさか、自分がまた族から狙われてるなんて思いもしないだろうし」


「──…あぁ。これ以上、マリアを不安にさせたくはない」


言葉を交わす二人は眉間を寄せ、スヤスヤと心地良さそうに眠るマリアを心配そうに見つめる。


「取り敢えず、一旦、此処を離れよう。煩いハエを撒かないと何処にも行かれない……」


「あぁ……頼む」


魁の返事を確認し、窓を軽くノックする葵。

それを合図に運転席に乗り込んだ重盛とバックミラー越しに視線を合わせ


「……出せ……」


短く命令すれば


「はい」


葵の言葉に頷き、漆黒の高級車を音もなく滑るように発進させた…───


< 450 / 757 >

この作品をシェア

pagetop