Wonderful DaysⅠ
「うぅ~っ……頭イタイ……」
寝過ぎたのかな?
それにしては、気分が最悪だ……
左手で痛む蟀谷(こめかみ)を押さえて目を瞑れば、自然と眉間に皺が寄ってしまう。
これは、鎮痛剤を飲まないと治らないかも……なんて考えながら蟀谷を押さえている手と反対の手に掴んだ何かに視線を移せば、それはブラックの男性物のロングコート。
───あれ? これって……
不意にコートを持ち上げると、ふわりと香る優しい匂い。
───やっぱり……魁さんのコートだ……
その香りで思い出した。
「私、車の中で魁さんを待ってて眠っちゃったんだ」
車内に誰もいないって事は、まだ話しているのかな?
外を見ようとゆっくり体を起こせば、ズキンズキンと増す痛み。
「──…痛っ……」