Wonderful DaysⅠ


痛すぎて、思わず頭を抱えてしまう。


「うぅ~っ……痛いよぅ……」


後部座席のシートに凭れながら、目を細めて窓の景色を見てみるけれど……

フルスモークだからなのか、外が暗いのかはわからないけど真っ暗で何も見えない。

窓を開けようと、パワーウィンドウのスイッチを押したのに反応しない窓。


「…………」


───何で?


片手で蟀谷を押さえながら、カチカチと何度押しても、うんともすんとも言わない窓を諦めてドアを開けた。



ガチャっと後部座席のドアを開ける音が響けば、慌てた様子で駆け寄ってくる運転手の重盛さん。


「どうかなさいましたか?」


「……あ……」


───しまった!


声を出してから、思い出した。

私、日本語喋っちゃいけないんだった……


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