Wonderful DaysⅠ
なんだかフワフワして、足が地に着かないような感じ。
上手く足が前に出なくて、気づいた時には倒れそうになっていた。
───うそ……倒れちゃう!?
地面にぶつかる衝撃を想像して、ぎゅっと目を瞑れば
「どうした?!」
ぽすん。と、誰かに抱きとめられるような感覚と焦った声。
ふわりと香った匂いに、固く瞑った目をゆっくりと開ければ……
「マリア?」
私を心配そうに覗き込む魁さんの姿があった。
「……魁……」
「さん」と続ける筈の声は、近くにいる重盛さんの存在を思い出して止めてしまった。
そのせいだろうか……
名前を呼んだ瞬間、魁さんの体がピクリと反応して、私を見る切れ長の瞳は驚きでなのか大きく見開かれていた。