Wonderful DaysⅠ
───しまった……
やっぱり、いくらなんでも呼び捨ては拙かったよね……
言ってから気付いても遅いんだけど。
「──お前……」
固まってる私を無視して、重盛さんの前だというのに真っ赤な顔でバリバリ日本語を喋っちゃってる魁さん。
名前を呼び捨てにされて怒っているから、気がついていないのだろうか……
───私が日本語喋らないようにしてるのに、魁さんが喋っちゃダメでしょ!?
横にいる重盛さんの反応が気になって、ちらりと視線を流してみれば……
案の定、魁さんの顔を見て困惑気味に瞬きしてる。
───やっぱり……
魁さんに「呼び捨てにしてすみません! 英語で話してください」って伝えようとするけれど、寒さで歯が噛み合わない。
何も話さないでブルブルと震える私の額に、大きな手が触れる。
何しているんだろう? と、目の前の見目麗しい顔をボーっと見ていれば、段々と険しくなる魁さんの表情。
「お前、熱があるじゃねぇか」