Wonderful DaysⅠ


「その医者が、響だから言ってんだよ」


「なに、それ……酷くない?」


二人の遣り取りを見ていれば、脇に差し込んでいた体温計がピピピッと鳴って計測を終えた事を知らせる。

その音で会話を終了させた先生は、体温計をスッと抜いて液晶部分に視線を落とすとポツリと呟く。


「まだ、40.8℃もあるかぁ……」


「……え?」


───40.8℃?!


一瞬、耳を疑った。

だって、そんな高熱出した事ないし。


「40.8℃。君、インフルエンザで熱が高いんだよ。
これでも、昨日よりは下がったんだけど、また上がってくるかもしれないな……」


───インフルエンザ恐るべし……


「まだ、上がるのか?」


先生の話を聞いていた魁さんが、確認するように尋ねると


「あぁ……また夜中になったら上がるだろうな。取り敢えず、脱水症状を起こしかけているから点滴をしておくよ」


そう言って、手際良く点滴の準備を始める。


点滴……嫌だな……


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