Wonderful DaysⅠ
───
──────
私が此処に運ばれてから、どれくらいの時間が過ぎたのか……
先生が言っていたとおり、あの後に41.2℃まで熱が上がった私は、沈み込んだ意識から浮上しても、夢の中にいるような感覚になっていた。
時折、先生が診察をしているのがわかったけれど、反応する事は出来ず意識が薄れていく。
そんな事を繰り返し、やっと意識がはっきりしたのは何度目だったのだろうか……
真っ暗だと思っていた部屋には、優しいオレンジ色の光。
何度か瞬きをして、ゆっくりと頭を動かせば、ベッド脇のテーブルに置かれたスタンドライトが視界に映る。
「…………」
病院にしては、センスのいい高そうなスタンドライトだな……なんて思っていれば
「やっと、お目覚めかな?」
後ろから聞こえた声に、ぴくりと肩が跳ねる。
視線をそちらへと向ければ、ベッド脇の椅子に腰掛けていた先生が、にこりと微笑んでいた。
「気分はどうだ? 熱は下がってきているから大分、楽にはなったと思うんだが……」
そう言って立ち上がると、私の額に当てられていた冷たいタオルを取り去ってくれる。