Wonderful DaysⅠ
嬉しい筈の『お姫様抱っこ』は、驚愕の事実に喜んでいる場合ではなくなっていて。
───ヤバイ……
迎えに来る予定だったのが、本当にマーク兄さんだったとしたら……
間違い無く、イギリスに“強制送還”だ。
マーク兄さんの行動に、顔面蒼白の私だったけれど
「響……親父達と一緒に居た奴等は誰だ」
魁さんが先生に掛けた言葉に、思考が切り替わって
「「え?」」
思わず、先生と私の声が重なった。
「あ?」
不機嫌そうな返事を返す魁さんに
「あれは、暁商事の会長とその娘だよ。お前達兄弟に、娘の売り込みに来たみたいだぞ?」
「暁?」
先生の説明に何か思い当たったのか、ハッとする魁さん。
───あれ?
魁さんの反応に首を傾げてしまうけど、先生の説明にも疑問が浮かぶ。
「暁って、マリアの学校に転入して来たって奴か?」
私を見下ろして聞いてくる魁さんに
「そうです。暁さんは……魁さんの婚約者なんじゃないんですか?」
頷いて聞き返せば、眉間を寄せる魁さん。
「違ぇよ。俺の婚約者は……」