Wonderful DaysⅠ
そこまで言って立ち止まると、私に視線を合わせ眉間を寄せたまま口篭ってしまう魁さん。
魁さんの次の言葉を待っていれば
「おいおい、魁君。そんな所で立ち止まってないで、とっとと君の部屋に俺の患者を運んでくれないかな?」
部屋の手前で立ち止まってしまった魁さんを促す先生。
その声にハッとした魁さんは
「あぁ…悪い……」
待っていた言葉を発する事無く、歩き出してしまった。
───ん? ちょっと待って。
先生、今、何て言った?!
魁さんに“君の部屋”って言ったよね?!
思わず、魁さんの顔を凝視してしまう。
「どうした?」
私の並々ならぬ視線を感じたのか、部屋の大きなベッドへと歩を進めながら声をかけてきた魁さん。
「あのっ……私、ずっと魁さんのお部屋を借りてたんですか?!」
慌てる私を、寝心地の良い大きなベッドにそっと下ろすと
「あぁ……嫌だったか?」
少し悲しそう…に見えた表情をするから
「め、めめめ滅相もないっ!!」
全力で否定した。
───嘘でしょ……私、ずっと魁さんのベッドで寝かせてもらってたの?