Wonderful DaysⅠ
目の前に差し出された書類に名前を記入していく。
住所……横浜市。
後は、よくわからないんだけど……
「落し物センターの方には届いていなかったよ」
電話を終えたお巡りさんが、私に話し掛けながら書き終えた書類を見て頬を引き攣らせた。
「あのね、住所とか詳しく書いてくれないと困るんだけど……」
だよね……
「すみません。さっき、日本に着いたばかりなので詳しい住所と電話番号がわからなくて」
そう言うと、目の前のお巡りさんは目をぱちくりさせた。
「え?」
「あと、ついでに言うと迷子なんです……」
最後の語尾は恥ずかしくて、声が小さくなった。
「えぇ!?」
そんなに驚かないで下さい……
「横浜市の、どこら辺なのかな?」
そんなお巡りさんの質問に、おずおずとあの地図を見せる。
「…………」
「…………」
チラッとお巡りさんを見れば、目が点になっていた。
そりゃそうだよね、こんな地図を見せられたら。
なのに……
「ここなら、電車に乗って横浜の駅から近いよ」
お巡りさんの言葉に、今度は私の目が点になった。
嘘っ!? こんな地図でわかるものなのっ?