Wonderful DaysⅠ
「あのっ……」
まるで、大事なものを包み込むように抱きしめるその腕は、すっぽりと私の体を覆っていて。
「か、魁さん?」
もぞもぞと動きながら名前を呼べば
「───やっとだ……」
熱い吐息と共に、耳元に吹き込まれた囁き。
「え?」
その表情を確かめるように見上げれば、愛おしそうに私を見つめている魁さんが映った。
「やっと、俺のものだ……」
───どくん……
耳に届いた切ない囁きに、心臓が痛いくらいに反応する。
指が体に食い込むほどの強い力で、ぎゅっと抱きしめるその腕は、私の存在を確認するかのように胸の中に閉じ込める。