Wonderful DaysⅠ
後ろ髪を引かれながらも、渋々帰って行ったアル君。
俺が撮った写真なんて見せたら、きっと意地でもマリアちゃんを連れて帰っちゃうんだろうな……なんて思いながら紅茶を飲んでいれば
「なんだ、お客はもう帰ったのか?」
別の部屋に居た響君が顔を見せた。
「あぁ、帰ったよ。別に、大した用じゃなかったしね」
あれ以上、此処に居られたら強行突破しそうで怖かったし。
とっとと、帰ってもらいました。
響君が向かいのソファーに腰掛けたから
「響君、何か飲む?」
「じゃあ、コーヒー」
「OK!」
普段なら、こんな事しないけど。
今日はメチャクチャ気分がイイから、大サービス。
「……って…あぁ───っ!! 忘れてた!」
響君にコーヒーを差し出したところで、大事な事を忘れてた。
「いきなり、でけぇ声出すんじゃねぇよ!」
俺の声に驚いた響君の肩がびくりと揺れた。