Wonderful DaysⅠ


「私と、かっ…結城さん? …って、『神威』の総長さんだった結城さんの事?」


思わず、綾ちゃんの前で“魁さん”と呼びそうになってしまったのを慌てて言い直す。

その瞬間、綾ちゃんの片眉が、ピクリと反応したのがわかった。


「そう。その、結城。」


綾ちゃんが聞きたいのは、やっぱり魁さんとの事みたいだけど……


「……どうして、そんな事聞くの?」


全く接点のない私と魁さんの事なんて、一体どこから聞いたのか。

頭に浮かんだ疑問は、直ぐに解決する。


「マリアが、お兄さんと食事の予定があった日……マリアが帰った後に、結城がこの学校に来たのよ」


「へぇ……え? は? うぇっ? 魁さんがっ!?」


魁さんが、学校に来たという事実に驚いて、思わず“魁さん”と呼んでしまった私。

慌てて口を押さえたけれど、綾ちゃんがそれを聞き逃すはずも無く……


「ふぅん。結城の事、“魁さん”なんて呼んでるんだ?」


いつかのように、切れ長の綺麗な瞳が怪しく弧を描く。



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