Wonderful DaysⅠ
「…あ……」
背筋を流れる嫌な汗。
───私のバカッ!! 自分からバラしてどうするのっ!
視線を彷徨わせ、頬を引き攣らせる私に
「あいつ……結城もマリアって呼んでたわよ?」
間違いなく、知り合いよね? と凄まれて、最早、言い逃れ出来ない。
───ダメだ……どうしよう……
私は正式な婚約者だと魁さんは言っていたけれど、魁さんとの事を他の人に言ってしまっていいのかがわからない。
「マ・リ・ア?」
「……はい」
俯いて、いつまで経っても口を開こうとしない私に、ふぅ…と溜め息を吐いた綾ちゃん。
「ねぇ、マリア」
呼ばれた声に、ちらりと視線を向ければ
「私……マリアと結城の事、知ってるのよ」
耳を疑うような言葉を発した。