Wonderful DaysⅠ
「……え…?」
「マリアと結城の事は、聞いてるから知ってるの」
綾ちゃんの言葉に、頭が真っ白になる。
だって、綾ちゃんの知り合いで私と魁さんの事を知っている人なんて思い当たらない。
「聞いたって……誰に?」
恐る恐る聞いてみれば
「…蓮……滝沢 蓮って言えば、わかるかしら?」
またまた、有り得ない人物の名前が飛び出してくる。
「れ…蓮さんっ!?」
空き教室に響き渡る私の声に、顔を顰める綾ちゃん。
「マリア、うるさい……」
「あ、ごめん……」
蓮さんって、あの蓮さんだよね!?
「あ…綾ちゃん、蓮さんと知り合いなの?」
なんか…そっちの方がビックリなんですけど!!
だって、接点なさ過ぎ……
「えぇ。家が隣同士の幼馴染なの」
「幼馴染……」
「そ。世の中って、案外狭いのよ」
にこりと微笑んで言う綾ちゃん。
蓮さんに聞いてるんじゃ、言い逃れは出来ないと諦めた私は、重い口を開いて少しずつ魁さんとの事を話し始めた。
もちろん、私が魁さんの婚約者という事は伏せて。
それはもう、端折って端折って端折りまくって。