Wonderful DaysⅠ
「実はね? 父さんとイギリスに行ってもらいたいな~なんて思ったりして……」
「……は?」
「だ~か~ら~、イ・ギ・リ・ス! 今回も、兄弟の誰かを一緒に連れて行くって父さんが言ってたんだ」
「何で俺がイギリスに行かなきゃならねぇんだよ? 慧が行ってくればいいだろ、暇なんだから」
毎年、暇だなんだと目の前で喚きまくって、付き合わされる俺の身にもなってくれ……
「それが、今年に限って暇じゃないんだよねぇ。俺も兄貴も予定が、てんこ盛りなんだよ」
「…その、予定ってなんだよ?」
「兄貴は友達と登山で、俺は彼女達と旅行~」
───アホか、コイツは。
「却下。てめぇで行って来い」
アホらしい理由に、止めていたペンを再び動かし始めた。
しかも、彼女達ってなんだよ、達って。