Wonderful DaysⅠ
「え~っ!? 魁君、俺の計画を台無しにする気なの?」
「…………」
「俺、2ヶ月も前から計画してたんですけど!」
「…………」
「ねぇねぇ~! お兄様を無視ってどうなの?」
無視を決め込んでペンを動かしていた俺だったが、何とか振り向かせようと体をガクガクと揺すってくる慧に堪忍袋の緒がキレた。
「───うるせぇ……」
俺の口から発せられた低い声に、あれほどうるさかった慧の動きがピタリと止まる。
「か……魁~君?」
「却下って、言っただろ。」
「…う……」
きっぱりと俺に断られた慧は諦めきれなかったのか、何度もこっちをジト目で見ながら部屋を出て行った。
やっと、問題解決だと思っていたのに……
イギリスに出発する前日。
「…魁君、ごめんねぇ~」
「………………」
ノロウィルスに罹った慧の代わりに、イギリス行きが決まった俺だった。