Wonderful DaysⅠ






此処は、イギリスの『リッツ・ロンドン』

今回の渡英は、なぜかクリスマスパーティーに出席する事だったらしい父さんと俺は、既にタキシードに着替えていた。


「なんで、俺が……」


未だ納得出来なくて、ホテルの一室で呟いていれば


「まぁ、そんなに嫌がる事はないだろ?」


ソファーに座り、紅茶を飲みながらこっちを見ている父さんに声を掛けられた。


「華やかな場所は好きじゃない。こういう場には、兄貴や慧の方が相応しいよ」


「慧は、ただ単にパーティーが好きなだけだろ。
それに、今日はクリスマスパーティーだ。お前の好きなケーキもあるぞ?」


「………………」


確かに甘い物は好きだけど。

そんな理由で、イギリスまで来たくない。


「大体、何で態々、イギリスのクリスマスパーティーになんて参加するんだよ?」


「取引会社からの招待でな。毎年23日に行われていたんだが、今年は24日になってなぁ。…と、そろそろ、時間だ」


そう言って立ち上がった父さんは、コートを手にするとドアへと向かう。

その後姿を見て、小さく溜め息を吐いた。

此処まで来てしまったのだから仕方が無いと、諦めた俺もコートを手にして後を追う。



この後、まさかこの年でプロポーズをする事になるとも知らずに……



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