Wonderful DaysⅠ
その後、バンケット・ルームへ移動した父さんと俺。
テーブルには会社名、席には招待客の名前が書かれていてそこに座る。
父さんの系列会社からも何名か招待されていて、同じテーブルには父さんとにこやかに挨拶をする子供同伴の日本人が多かった。
1テーブル12名。
既にテーブルの上にはグラスやカトラリーだけでなく、クリスマス・クラッカーや吹くとひゅるひゅる伸びる紙の笛まで用意されていて、子供の席にはお菓子の詰め合わせ。
「それにしても、三男の魁君が来るなんて珍しいですね?」
隣の席から聞こえてきた声に顔を上げれば、恰幅のいい髭を生やした男性が俺に視線を向けながら父さんに話し掛けていた。
「今日は、慧の代理でね。無理矢理、同伴させてしまったんだよ」
失礼の無いように、一応お辞儀をすれば
「そうでしたか。それはラッキーだったな、芽衣」
自分の隣にいる娘に視線を向けた男性。
ちらりと視線を向ければ、俺と同じ年くらいの娘が頬を赤らめながら笑顔で俺を見ていた。