Wonderful DaysⅠ


“雷に打たれた”と言う表現よりは、とにかく“強烈に気になった”と言う方が正しい。


ハーフアップに結われたハニーブラウンの長い髪には、ラビットファーの白いリボンにパールがついていて、とても上品に見える。

大きな瞳はエメラルドグリーン。

横顔からでもわかるその整った顔立ちは、きっと誰が見ても美人と答えるはず。


何よりも気になったのは、彼女の表情で。


生気を感じないその表情は『無』。


真っ直ぐに向いている筈のエメラルドグリーンの瞳には、きっと何も映っていない。


隣に座る男が、優しそうな笑顔でお菓子やクラッカーを持ちながら話し掛けているけど、無表情で頷くばかりの彼女は興味がなさそうだ。


出席者が皆、笑顔で楽しんでいるこのクリスマスパーティーの中で、彼女の存在は異質だった。



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