Wonderful DaysⅠ
「どうしたんだ? 魁」
「……え?」
父さんの声に反応して振り向けば
「ずっと、同じ方向ばかり見て。何か、気になる物でもあったのか?」
俺の視線の先にあったものを探そうと、隣に顔を寄せて興味深げに覗き込む。
父さんが気になるほど、そんなに彼女を見ていたんだろうか。
「いや、何もないよ……」
「そうか?」
誤魔化すようにテーブルに視線を戻してみれば、いつの間にか紙でできた王冠を被っていたり、クリスマスクラッカーを引き合って、中から出てくるクイズを読み上げたりと、それぞれ楽しんでいる参加者達。
「同年代の子も参加しているから、あっちでゲームでもしてくるか?」
父さんが指差す方向を見れば、確かに国際色豊かな同年代の子供達が集まって何かのゲームをしていた。
「……遠慮しておく」
「楽しそうだぞ?」
「………………」
父さんの誘いに首を横に振って、オレンジジュースに口をつける。
「そうか……」
俺を誘う事を諦めた父さんは、他の席の男性に話し掛けられて仕事の話を始めた。
始まったばかりのクリスマスパーティーは、まだまだ終わりそうにない。
「……はぁ……」
溜め息を吐いて、無意識にさっきの彼女へと視線を向ければ、そこに座っていた筈の彼女の姿はなかった……