Wonderful DaysⅠ
手を引けば、きゅっと握り返してくる彼女。
その反応に、無意識に頬が緩む。
離れないようにと、俺も僅かに力を込めて握り返した。
暫く歩いて、彼女を連れ出した場所へと戻って来た俺達。
立ち止まったそこで、改めて周囲を見回してみるが……
「お前の兄貴って、何処に居るんだ?」
兄貴の顔がわからない。
そんな俺の言葉に、視線を上げる彼女。
「さ、さぁ?」
確かに、このパーティーで一箇所に留まってはいないか……
「───行くぞ。」
まぁ、そのうちに見つかるだろ……と、溜め息を吐くと繋ぎ直した手を引いて、また歩き始めた。
そういえば……
「お前、名前は?」
まだ、彼女に名前も聞いていなかった。
そんな俺の声に反応して、肩越しに視線を合わせた彼女は
「マリア・ウィンザーです」
にこりと笑みを見せて、名前を告げた。