Wonderful DaysⅠ
“マリア・ウィンザー”
それが、彼女の名前。
「マリア……」
彼女の名前を脳裏に刻み込むように、もう一度小さく呟く。
マリアと話をしているうちに思いついた、彼女を日本に連れて来るもう一つの方法。
この方法なら誰にも文句は言われないし、マリアを嫌っていると言う婆さんからも堂々と引き離す事が出来る。
彼女のエメラルドグリーンの瞳が、二度と光を失わないように……
───マリアは、誰にも渡さない
そう思えば、自然と口角が上がる。
「……決めた」
俺の中で、初めて芽生えた感情。
どうしても。
他のもの全てを失くしてでも、彼女が欲しい。
マリアを初めて見た時に感じた、あの感覚。
きっと、あれが一目惚れだった。
この時から、俺は……
今でもずっと、心の底からマリア・ウィンザーを渇望している。