Wonderful DaysⅠ



「ちょ、ちょっと待って、父さん……」


それまで黙って話を聞いていた兄貴が、ハッとして父さんに声を掛けた。


「何だ?」


「ウィンザー家って、“あの”ウィンザーの事を言ってるの?」


相手を確かめるように問えば


「どのウィンザーか知らんが、お前は他にも知っているウィンザー家があるのか?」


「いや、ないけど……」


「なら、お前が知っているウィンザー家だよ」


父さんの言葉から、どうやら兄貴もウィンザー家を知っているらしい。

その隣では慧が「マジかよ……」と、頭を抱えて悶えていて。


「俺、アル君やマークさんと親戚になっちゃうわけ!? 
アル君はなんとかなるけど、マークさんは無理だ─────!!!」


涙目になりながら、いきなり叫んだ。

マリアの兄貴の名前の呼び方から、慧は相手を知っているどころか、かなり親しい間柄らしく、ウィンザーを知らないのは俺だけだったらしい。


───何だ、コイツも知っているのか。



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