Wonderful DaysⅠ
リムジンの前後を走っていたボディーガードの車からは、数人の黒服が降りてきて、マーク・ウィンザーと俺を囲むように歩く。
物々しい雰囲気に驚くが、何気にテロの多いイギリスでは仕方の無い事なのかもしれない。
そして……
目の前に聳え立つ、その建物を見上げてゴクリと息を呑んだ。
首が痛くなるほどの高さの建物は、本社ビルに引けを取らないくらいのビルで。
これも、間違いなくウィンザーの持ち物なんだろうと感じた。
だって、建物内のロビーには黒服しかいない。
「……………………」
無言のままエレベーターで向かったのは、最上階。
「そこに、座って」
「……失礼します」
だだっ広い部屋の中央に置かれたソファーへと促されて腰を下ろしたのは、今からかなり前の事。
……で、現在に至るのだが。
此処に来て睨み合う事……もとい、話し合う事二時間。
いい加減、納得してもらえないだろうか。
「……………………」
「……………………」
目の前の人物は、真意を確かめようと俺を真っ直ぐに見据えていた。