Wonderful DaysⅠ
この間のマリアとの会話からも、兄貴達にでさえ遠慮しているように感じて、自分の気持ちを伝えていないんじゃないかとは思っていたが……
「───マリアが、お前に言ったのか?」
「はい」
「……………………」
俺の返事を聞くと、額を押さえて溜め息を吐いたマーク・ウィンザー。
その様子を見ても、マリア本人の口から「日本に帰りたい」と聞いた事がなかったのだろう。
「そうか……」
それでも何か思い当たる節があるのか、足元に視線を落として黙り込んでしまった彼からは、先ほどまで放っていた威圧的なオーラはすっかり消えていた。
日本に行きたい事すら伝えていないんじゃ、きっとあの事も伝えていないはず。
マリアが今置かれている環境を考えれば、尚更言い難いのかもしれないが……
「……そ「結論から言うと─────」
未だに考え込んでいる彼に、それから……と話を続けようとしたところで
「マリアとの結婚は“NO”だ」
俺の言葉に被せて、マーク・ウィンザーが口を開いた。