Wonderful DaysⅠ
「──────っ……」
“NO”
その言葉に、ごくりと息を呑んだのは一瞬で。
「───と、言ったらどうする?」
「……………………」
続いたマーク・ウィンザーの言葉が、ほんの僅かな希望を残す。
……俺は、彼に試されているのか?
どっちにしても、何度断られようが、これだけは譲れないから……
「───俺は、マリアと約束をしたんです」
「……約束?」
「彼女を……マリアを日本に連れて行くと」
「……………………」
「俺は、絶対にマリアを日本に連れて帰ります」
彼を真っ直ぐに見据えて、自分の素直な想いを言葉に乗せる。
「そして、俺の人生の全てを懸けてマリアを守り抜いてみせる」
マリアを嫌っているという“お婆様”からも。
マリアに害を及ぼす全てのモノからも。
もう二度と、あの透き通るようなエメラルドグリーンの瞳が輝きを失わないように……
マリアの、あんな悲しそうな泣き顔なんて見たくないんだ。