Wonderful DaysⅠ
「だから……俺が18になったら、マリアとの結婚を許して下さい」
座っていたソファーから立ち上がり、頭を下げる。
「お願いします」
「お前……」
目を瞠る彼は、それ以上言葉を発する事無く黙り込んでしまった。
そして、数分後。
言いたい事を伝えた俺は、彼の返事を待つしかないのだが……
「……………………」
この部屋に流れる重苦しい空気の中、一瞬たりとも視線を逸らさず微動だにしないマーク・ウィンザーと俺。
全てを見透かすような視線を受けながら、不意にマリアの泣き顔が脳裏を掠めた。
───今頃、マリアは何をしているんだろう。
辛い思いをして、泣いていなければいいが。
帰国する前に、もう一度、マリアの笑顔が見たかったな……
そんな事をぼんやりと考えていれば
「─────分かった……」
今まで沈黙を守っていたマーク・ウィンザーが、ゆっくりと口を開いた。