Wonderful DaysⅠ
「あ、兄貴」
「まったく。お前の声が、廊下の向こう側まで響いてたぞ」
呆れ顔で慧を見ていた兄貴は
「魁」
小さく息を吐くと俺を呼ぶ。
「マークから、またFAXが届いてたぞ」
「……FAX?」
「あぁ、大量にな」
そう言って、苦笑いで差し出されたそれを受け取る。
この書類は、兄貴のじゃなかったのか……。
一番上の文字に視線を走らせれば
「これに目を通しておけ?」
マークさんの直筆で書かれたメッセージが目に入った。
「……………………」
この厚さ5cmほどの書類を読むのは、いつものことだから問題はない。
だが……
これを3日で読めというのは、絶対に不可能だと思う。