Wonderful DaysⅠ
「マークさんってさぁ、魁君のこと過労死させるつもりじゃないよね?」
慧が顔を引き攣らせながら、俺の手元に視線を向ける。
「強ち、否定できないような量だからな……毎回」
それに同意するのは、医者の響で。
「今大切なのは、取り敢えず学校の勉強だ。無理せずに、量を減らすようマークに連絡しておくか?」
声を掛けてくる、目の前の兄貴。
俺を心配してくれるのは嬉しいが……
仮に「送ってくる資料やら、本の量を減らしてくれ」なんて頼んだ日には、その場で婚約破棄されそうで本気で怖いんだよ!
「学校の勉強は、ちゃんとやってる。だから、マークさんには何も言わなくていい」
それに首を振って、ずっしりと重量のある紙の束を抱えて立ち上がった。
「魁」
名前を呼ばれ、視線だけを流せば
「あまり、根を詰めるなよ。今のお前は、医者じゃない俺から見ても心配だ」
眉を顰めた兄貴が、心配そうに俺を見ていた。