Wonderful DaysⅠ
これで外せば少しは人間らしく見えるんだろうけど、綺麗な放物線を描いてゴミ箱に吸い込まれていった空き缶。
───うん。完璧だ・・・
そして我に返る。
ん?って事は・・・私は今、物凄くマズイ状況にいるのでは?
暴走族に追われるなんて冗談じゃない!
変装までして地味に平穏に過ごしているのに。
まぁ、この3ヶ月間は見つかっていないんだから、これからも目立たないように過ごせば何とかなるでしょ。
そんな甘ちゃんな考えはすぐに消し飛ぶ事になるのだけれど・・・
「此処だろ?」
声を掛けられて見上げてみれば、そこは確かに本日の目的地。
修さんが普段、利用している高級スーパーだった。
やっと辿り着いた目的地に涙が出そうになる。
「本当にありがとうございましたっ!!」
此処まで送り届けてくれた魁さんにお礼を言えば
「買い物すんだろ?行くぞ」
スタスタと店の中に入って行ってしまう。
目的地には着いたから、このまま帰るのだろうと思っていた私は慌てて魁さんの後を追い掛けた。