Wonderful DaysⅠ
時計を見れば午後10時。
親切なお巡りさん───? 駅からすぐだって言いませんでしたっけ?
「───はぁ……」
歩いているのに、どんどん暗くなってくるのはどうして?
誰も通っていない道を照らす街灯が、ジジッと音を立てている。
疲れた───
ふと前方を見ると、道を挟んだコインパーキングに自動販売機を見つけて思わず駆け寄った。
小銭を取り出してボタンを押すとガコンって音と共にペットボトルが落ちてくる。
それを持って近くにあった塀の上に腰を掛けた。
キャップを捻って一気に喉に流し込む。
「ぶほっ!!」
想像していた味と全く違う味に思わず噴き出した。
私が買ったのは、喉の渇きを潤すミネラルウォーターだったはず。
でも今、口の中に入ってきたのは甘ったるいイチゴミルクだった。
「えっ!? どうして!?」
かけていたメガネを外して見れば、手に持っているのは確かにイチゴミルク。
どうやら、押し間違えたらしい……
「It's not my day.(厄日だ)」
捨てるのは勿体無いから、ちびちびとイチゴミルクを飲みながら歩き出すと───行き止まりだった。