Wonderful DaysⅠ
「もうっ!」
思わず声に出てしまった。
自分の不甲斐なさに呆れて空を見上げれば、それは綺麗な星空が広がっていた。
よく見れば行き止まりだと思っていたここは、小高い丘の上で落下防止のフェンスを覗けば町が一望できる。
ベンチも設置されていて、歩き回った足が限界を迎えていた私は誘惑に勝てず、そこに座った。
残りのイチゴミルクを口に含みながら、ボーっと空を見上げると
「あ、流れ星……」
現実逃避して星空を眺めていたら、遠くからバイクの音が聞こえてきた。
───ブウォン……
比較的、静かな音を鳴らして走っているバイクは、どうやらこちらに向かってくるらしい。
一台分の音しか聞こえないから、きっと夜の走りを楽しんでいるだけだろうと思いながら目を閉じる。
思った以上に疲労感を感じて、一気に眠気が襲ってきた。
うぅー。ここで目を開けなかったら絶対に眠っちゃうよ。
懸命に瞼を持ち上げようと、眠気と戦っていた私は近付いてくる気配に気が付かなかった──
「──おい」
急に近くで聞こえた声にビックリして目を開く。
ベンチの背凭れに寄り掛かって目を閉じていた私は、上を向いた状態で声がした方に頭を傾けると──真横に男の人が立っていた。