Wonderful DaysⅠ


───あれから、どれだけ走ったのか・・・


「・・此処は何処なの?」


案の定、迷子になった私は目の前に広がる海を見ながら途方に暮れる。

家とは反対方向に走っていたけど、まさか海に出るなんて・・・

男達からは何とか逃げ切ったけど、今度は帰り道がわからない。


「・・・どうしよう」


挙句の果てには雨まで降ってきた。

近くの建物に取り敢えず避難して雨をやり過ごす事にした・・・が、一向に雨が上がる気配は無い。


「あーぁ。本当にどうしよ・・・」


走ってボサボサになった髪をほどいて濡れたところをハンカチで拭いていく。

時計を見れば夜の8時。

気が付けば、男達から逃げ出して既に3時間が経過。

修さんは、ホストクラブの方に顔を出すと言っていたから帰りは遅い。


「・・・お腹空いたよぅ」


力の無い声が口から零れたが誰にも届く事は無かった。

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