Wonderful DaysⅠ


「私…ですか……?」


他に人は居ないのだけど、怖いので確認の為に聞いてみる。


「他に誰がいる」


「……すみません」


私は悪くないのに、何で謝ってんだ?

それよりも、この男なんなの?


「そんな所で寝ていたら、ヤられるぞ」


───ヤられる……?


もしかして、心配して声を掛けてくれたのだろうか?


「はい、すみません」


ゆっくりと体を起こして、隣に立っている男の人を見上げた。


「……………………」


何と言えばいいのだろうか───

横顔からでも恐ろしく整った顔をしているのがわかる。
切れ長の二重の瞳と、通った鼻筋。
やわらかそうなの髪の毛は、風に靡いていて。

彼の後ろに見える月の光に照らされて、まるで一枚の絵画のように見えた。


呆気に取られてじっと見つめていたら、視線に気が付いたのか初めて彼が私を見た。


「……………………」


───こっ、怖っ!!


睨まれてるんですけど!

ジッと見てたから、気分悪くしたのかな……?

すっごい眼つきで睨まれて居た堪れなくなった私は、鉛のように重い足を叱咤してベンチから立ち上がった。


……これ以上、何かを言われる前に離れよう。

そう思って、そそくさと立ち去ろうとした時だった。


───ヴォンヴォン


私の耳に、新たなバイクの音が複数聞こえてきた。

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